インスタグラムから拡散。シャンプーが累計数100万個も売れた仕掛けとは?

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instagramインスタグラムが面白い。

Facebook,Twitterに続いて急成長している写真がメインのSNS。いや、ほぼ写真だけのコミュニケーションツールといっても過言ではないだろう。投稿者は趣向を凝らした写真を通して面白いモノ、コトを切り取って提示する。見る側は一目で気に入ったものにハートマークをつける。たったこれだけのコミュニケーションだが、いまだに始める人が後を絶たないSNSだ。

そんなinstagramインスタグラムがきっかけで一気に拡散し、大ヒットしたシャンプーをご存じだろうか?

それが、BOTANIST(ボタニスト)

ボタニスト

ボタニストシャンプー&リンス

ほんの2年前まで無名だったメーカーが、大手トップブランドを上回る勢いで売れている。私の家もその波にのまれて購入したがそのヒットの仕掛けについて考察してみる。

インスタグラムのコミュニケーションの仕掛け

まずはインスタグラムによるコミュニケーションの特徴だが、冒頭に書いたように「写真」がコミュニケーションの9割を占める。もちろんコメントも書くことはできるが、あまり重要ではない。如何に興味を引く写真であるかがコミュニケーション拡散の決め手となる。写真だけのコミュニケーションに振り切ったことで、インスタグラムは最も短時間で多くの情報量を伝えるSNSになったのだ。

写真は人の興味を引く

「人は見た目は9割」とはよく言ったもので、視覚情報で人は多くの物事を判断する。仕事柄サイトのカスタマー調査などを行って、あるページを見てもらったときの人の視線を追うテストがある。テスト結果は、写真を上から下に追っていき、文章については、ほとんど認識していない。興味を持つ写真があってはじめて文章を読む人もいるという程度だ。

写真は一瞬で伝える情報量が多い。

次に、写真の優れているところは、その情報量の多さだ。そして、それが一瞬で伝わる。たった写真一枚は多くのモノ・コトを語ることができる。しかし、文章である一つの写真を説明しようとすると非常に長くなってしまう。

試してみる。

場所は外国。大きな公園の湖のほとり。一人の老人が一脚の折り畳みできる赤い椅子に座っている。老人はグレーのスラックスに白いシャツに革靴、その上に青いカーディガンを羽織っている。頭髪は白く、薄くなってきてはいるがこぎれいに整えられている。散歩の途中に公園に立ち寄ったのかもしれない。表情は物憂げで肩に力はなく、何も持たない両手は両足の間で組まれている。足元には数羽のカモが歩いている。

その写真がこれ。

IKEAのCMの一コマ

IKEAのCMの一コマだ。

一枚の写真の方がはっきりと情景を伝えられることがわかる。もしかしたら素人の文章では全く伝わらなかったかもしれない。しかし、素人の写真でも伝わることは多い。それがインスタグラムの強みになっている。

この点がtwitterやfacebookとの大きな違いだ。タイムラインを見ていて、つまらない私信が多く、有益な情報がほとんど無いといっても過言ではない。リア充アピールは参考になる情報だったりもするので許せるのだが、つまらないひとりごとばかりを見るためにtwitterやfacebookを立ち上げることはなくなっていった。

 

感情を揺さぶる力が強い

そして、写真はその情報量の多さで、感情を揺さぶられることも多い。たった一枚の単純な夕焼け空でも感動できるのが人間だ。一方、文章は難しい。人の心を動かす短い文章を考えてくれと言われてすらすら書ける人はなかなかいないだろう。小説家になるべきである。それくらい文章で魅力を伝えるのは難しい。しかし、そんなあなたでもちょっと人を感動させる写真を撮ろうと思ったら意外と写真が撮れるのではないだろうか?朝日が差し込むリビング、風光明媚な風景、公園で犬と戯れる子供、ベンチで転寝する老人などなど。自分が少し感動した場面を写真で切り取れば、大小あれど人は共感してくれる。そんな写真を撮ろうと思えるのもinstagramインスタグラムやfacebookがあるからだと思う。SNSが始まるまでの一般人にとっての写真は、記録・記念がほとんどだった。入学式・卒業式、旅行先など人生のイベントを写真に収めていた。携帯電話にカメラがついて日常に写真が入り込んできたが、それも自分の記録がメインだったことだろう。そして、SNSの時代が来て、いよいよ人受けする写真を撮る時代に突入した。つまり、写真を人とのコミュニケーションツールとしてとらえる時代が来たのだ。これは大きな違いだし、人を感動させる写真を自分で撮れることに人は気づいてきている。instagramのコミュニケーションはまだまだ進化する気がしてならない。

ただ、プロの写真家たちはそれ以上に高次元なレベルで写真を撮影していることは一応書き留めておく。

余談だが、動画ならもっと情報量が多くていいのではという意見もあるかもしれない。ただ、データの読み込み、視聴に時間がかかることが動画のデメリットだ。写真は瞬きする時間で判断できる。

最後に本題、この写真を使ってインスタグラム上でマーケティングを行った「ボタニスト」は、なぜインスタで受けたのか、そして、その拡散スピードが速かったのか。

 

大ヒットの仕掛け1:自然と押しつけではないコミュニケーションができた。

インスタグラムは写真がすべてだ。だから余計な文章は入らない。これが企業のマーケティングとしていい距離感を保てたのだ。PRや広告の担当者は商品の魅力を伝えようと、日々ニュースレターを書く、もしくは、編集している。この文章は、すべての魅力を伝えようとかなり恣意的なものであることが多い。facebookやtwitterの企業アカウントでも人気のあるところは、文章量はあまり多くなく控えめである。情報の押し売りはみな嫌いなのだ。

インスタグラムを使ったことで、肩の力が程よく抜けていたのだろう。自然と写真だけに集中したマーケティングがができた。

大ヒットの仕掛け2:写真映えするモノトーンのパッケージデザイン

ボタニストのパッケージの優れているところは、透明のボトルにモノトーンのロゴ・パッケージというシンプルさだ。透明ボトルで、シャンプーのパッケージはとにかくカラフルなものが多いが、ボタニストは透明なボトルに透明の液体が入っている。残量もはっきりと見えるほどだ。これが写真に納まると背景が透けて、どんな状態でも色がぶつからず、いい写真を取りやすい。

自然とハマる写真が取れる

自然とハマる写真が取れる

購入した人たちが撮りたくなるパッケージであり、写真映えするパッケージをデザインしていたことがボタニストの写真コミュニケーションの大きな強みであった。

 

おしゃれに敏感な芸能人たちが集まるインスタグラム

インスタグラムで人気の芸能人たちは、どこかファッションの香りがする人が多い。時代の潮流に乗っているからだろうか。そんなおしゃれな芸能人たちも日々投稿のネタを探しているだろう。そこで、写真映えのするボタニストに白羽の矢が立った。

紗栄子とボタニスト

紗栄子とボタニスト

さらに、白羽の矢は止まらず、立ちまくった。

アンジェリカとボタニスト

アンジェリカとボタニスト

 

スザンヌ

スザンヌとボタニスト

他にも山田優や吉川ひなの(懐かしい)、なぜか「テラスハウス」に出ていた人々などたくさんの人々がインスタグラムやブログにアップしている。

インスタグラムというフィールドを使い、うまく芸能人たちに飛びつかせることに成功した。(もしかしたら、最初の数人にはお金が発生しているかもしれないが、それから自発的に拡散しただろう)

見事にハマったインスタグラムマーケティングだったのではないか。

まとめ

  • インスタグラムの特長は、写真のみのコミュニケーション
    • 写真の一目で興味を引く
    • 写真は情報量が多く、伝わるのが早い
    • 写真は、感動させやすい
  • インスタグラムの押しつけではないコミュニケーション
  • 写真映えするモノトーンのパッケージ
  • 商品コンセプトにあった芸能人の多いインスタグラムというフィールドの選択

今後の日用品の商品パッケージは、ボタニストを見習い、「写真」を意識したパッケージを狙うのも面白いかもしれない。

特にファッション性や感情的価値の比重が高い商品などは。

 

もちろん商品力も大事

ちなみに、ボタニストは、ボタニカルシャンプーという新ジャンルで、植物由来の成分が90%というちゃんとした品質のシャンプーです。香りや使用感もかなり良いので、もちろん商品力が素晴らしいからこそ口コミが広がったのだろう。

しかし、最近では品質が良くても伝わらない商品も多いなか、ボタニストは、日用品のパッケージデザインから始まり、SNSへとつながったコミュニケーションの重要性がわかる大ヒット商品だ。

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