さりげなく現在ベストセラーの本を一冊紹介する。
堀江貴文さんの著作「ウシジマくんvs.ホリエモン 人生は金じゃない」
現在ドラマも放映していて、間もなく映画もpart.3、FINALと放映が予定されている超人気漫画「闇金ウシジマくん」を題材に、現実の世界で最もリアルな言葉を吐くイメージのあるホリエモンが世の中を斬るわけだから、これで売れないわけもないか。
1,404円。なかなか高いが、ウシジマくんの魅力もあり、まず、堀江貴文さんのマーケティングのうまさに舌を巻き、ついつい久しぶりにリアル書籍を購入してしまった。さて中身はどうだろうか。
堀江さんに対する思い込みは少ない方
私の堀江さんに対するスタンスは面白いおじさんで、バラエティ番組に出ているとちょっと気になる存在というところ。ネオヒルズ族のように堀江さんになりたいと思ったこともないし、「ホリエモン」というキャラクターが固定して長いが、最近は以前に比べてだいぶ落ち着いたんじゃないかという印象。ドラマティックな人生を送りすぎてもう余程のことではもう動かないのだろう。
堀江さんの歯に衣を着せぬ言葉には共感することも多いが、一方でそこまで言わなくてもみんなわかっていると思うこともしばしば。でも金持ちらしくない率直さとカッコつけてなさはかっこいいなと思う。
でも、世の中にいるホリエモン信者みたいな人たちはあまり好きではない。「ホリエモン」という虚像を利用して、自分のイメージを膨らまそうという話し方をするので気持ちが悪い。根拠のない自信は若者の特権なので許したいが、何もしてないのに、俺の思想だけは素晴らしいというスタンスなので、まずは行動で示してほしいと思うものである。
アナザースカイのデューク更家の演出
話は変わるが、つい先日、デューク更家さんが、アナザースカイという番組に出て、モナコの豪邸と生活を死ぬほど自慢していたが、税金対策のために移住したという真実には触れずに表層的な話に終始していて、この人はお金が好きなのだなと感じた。この番組を通したデューク更家は、お金によるステータスに固執して年老いている姿が無様だった。それもテレビが作り上げたデューク更家像にすぎないかもしれないが。数年前に若い女性数人を従えて六本木の安いクラブで踊ったり、あの独特の歩きをみんなに披露していたデューク更家さんを間近で観たことがあるが、本来は気さくな人だというのが私の中のリアルなのだが。しかし、アナザースカイでは、モナコの権威あるホテルのことをさも自分の権威であるかのように語っているように観え、私の中の現実と非常にギャップを感じた。
彼も、歩く健康法という根拠のない虚像を「信用」させることで財をなしてきたのだ。一役かったのが他ならぬメディアなのだが、もしかしたら、今回もデューク更家さんにまんまと利用されているのかもしれない。テレビが正しいとは思っていないが、現実の側面でもある。「金」に対する執着が強い世論なのだろう。
堀江貴文の「金」論は、「幸福論」である。
話を戻すと、私にとって堀江さんも知人ですらないので、作られたイメージの人にすぎない。だから「ホリエモン」という愛称で呼ぶのは気恥ずかしいので堀江さんと本文では記載している。
だから、ホリエモン信者のために以下の文も書いていないし、反・堀江な人たちを刺激したいと思わない。つか、どっちも嫌いである。家族でも友達でもない、何のゆかりもない知らない人のことなのに、好きか嫌いでムキになる無名な人たちは非常に気色が悪い。
「闇金ウシジマくん」という依り代がある本著が、きっかけで初めて堀江貴文の著作を読む機会を得た。
最初は、よくある闇金ウシジマくんの名言集に彼のコメントをつけたくらいのよくある有名人著作だろうとたかをくくっていた。片手間に書かれたこずかい稼ぎなのだろうと。
しかし、実際は残念ながら、いい意味で予想を裏切ってくれた。
堀江さんの経験と知識を元にした人間の業を哲学した本になっており、示唆に富んでいた。個人的には共感することも多く、「金」が題材ではあるが、堀江さんなりの「幸福論」を解いた本になっている。
私の場合は、人生が変わる感銘を受けたわけではなく、失礼ながら、世の中に対する見方が近い印象を受け、周囲の人たちの気持ち悪さを再確認できたことが、大きな収穫だった。
いい加減、前振りが長くなってしまったことを反省している。
書評は最後になるので飛ばしたり、もう本を買って読んだり、好きにしてほしい。
現時点で結論を言えば、この本はおすすめだ。
読んでいただいた方が話が早いので再び紹介。
もちろん、以下の私のレビューもがんばってかいたので、慎重派の皆さんは読んでいただいても全く問題ない。
「人生は金じゃない」は古いけど、古くない。
サブタイトルの「人生は金じゃない」だが、意外と使い古された言葉を使ってるなと最初は思ったが、あえてこの言葉を使ったのだと、本を読み進めていくと理解出来る。
私個人のことで恐縮だが、「人生は金じゃない」という言葉を割と間に受けてすくすくと成長してしまい、不惑の40に至った。だから何を今更言っているのだろうと思った。世の中の人も「人生は金じゃない」なんて当たり前なんじゃないの?と考えていた。
しかし、本を読んでいるうちに、確かに「人生は金だ」の方が世の中のコンセンサスであるような気がしてきた。
若い頃は、お金はなくとも「若さ」だけはあったので日々楽しく幸せを感じていた。「人生は金じゃない」と保守的な大人たちを皆で馬鹿にしていたと思う。
しかし、年を重ねるとともに、みな「金」や「地位」が「幸せ」の象徴へと変わっていき、自分たちが馬鹿にしていた保守的な大人になっていった。みな結婚して、家を買い、会社にしがみつき、子供に未来を託す。40になり周囲を見渡すと、みな声に出しては言わないが「人生は金だ」という人は自分が思う以上に多い。
きっと「金」以外に自分の幸せを測るモノサシを持てなくなってしまったのだ。彼らは自己肯定の手段が「金」しかなくなってしまったのだろう。そして、その金を使って楽しむこともあまり知らない。
彼らの「金」には目標がない。だから、いくら「金」があっても不満だし、足りない。いつまでたっても、「少しでも、できるだけ、もっと欲しい。」が続く不毛なレースが続く。
会社の中で少しでも地位を上げ、周囲よりも評価を上げ、給与の額面の数字が増えることが幸せなのである。
会社というツールはまだ使えるか?
一方で私は、そんな大人になっていく周囲に取り残されていった。「人生は金じゃない」というほど金に困っていないが、「金」を多く集めることには興味はなく、必要な金をどうやって効率良く、ストレスなく集めるかに思考は写っている。
40歳にもなると、20年もすれば還暦である。すでに人生カウントダウンしているのだ。もちろんいつ終わるかわからない。
その時までに、私はできるだけ効率良く自分の時間を作り、楽しい時間を過ごしたい。
楽しい人生を送るために会社が必要なツールであるか、もう非常に悩ましいところである。
すでに承認欲求もたいしてないし、自己承認の術を持っている。だから会社に評価されることは目的にない(もちろん、不当に低評価されるのも気に入らないが)そして、会社は仕事を楽しむ点でも、金を稼ぐ点でも、必要に増して、不必要な部分が増えてきている。
やはり、会社で我慢できないのは、自分の裁量で自由にチャレンジできず、周囲の人に足を引っ張られることである。
また、「人生は金だ」に陥った同僚たちのスケールが小さいのも、また、私がいらつく原因の一つである
彼らの想像する「金」は、せいぜい、今の年収を落とさず定年退職を迎えたいという程度のスケールである。年に数パーセント年収が上がれば、満足する程度である。そんな端金のために、上司にペコペコして、自分がいかにできるかを周囲に主張するために同僚を批判している。数万、数十万円のために。
いっそ、社長を目指すとか、悪どいこと、際どいことをやってのし上がるぜという気概でヒールを演じてくれれば、みていて楽しいのだが。彼らは私のような小物も気にしてくる。自慢の能力で他人との差を見せつければいいだけなのだが、彼らは必要以上に人を落としながら自分を上げようとしている。
私のやっかみかもしれないな。まぁ、私もお人好しなので協力することが多いので、せめて私のことはほっておいてほしい。
数万、数十万円レベルであれば、会社の外で簡単に稼げるレベルである。投資に回したり、ちょっとした個人事業をしてみたり、ブログ書いて広告収入を得てみたり、インターネット以降は、ハードルが下がりきっているので、ストレスなく小銭は稼げる。電子書籍に変えた時に、家の本を全て売れば数十万円になったし、ブログでもちょっとしたバイトくらいには稼げる。趣味の延長でサイドビジネスをすれば、会社とは違う楽しみを得ることも多い。
投資の基本は、「卵を一つのカゴに盛るな」である。同じように自分の労働力や時間を一つの会社に捧げるのはリスクヘッジにならない。しかし、彼らはそんなリスクを感じ取りもせずに、会社に全ての労力を注ぎ、仲間同士のバトルも繰り広げる。もちろん、優秀な彼らにはありえないかもしれないが、万が一、会社から必要とされなくなったとき、彼らはどうするのだろうか。
私なりのバランス感覚では、会社というツールは、人生を楽しむ上で使えるうちは使っておこう。という程度である。個人ではできない仕事もできたりして楽しいツールでもある反面、面倒なツールでもある。
ウシジマくんvs.ホリエモン 人生は金じゃない書評
前振りが異常に長くなってしまったが、最後に「ウシジマくんvs.ホリエモン 人生は金じゃない」の書評をまとめる。
本著は、間口の広い「金」を、人間の欲望を、題材にして人の興味もググッと引き寄せ、ウシジマくんという稀有なリアリティ漫画を題材に読ませる力を持ち、堀江さんの持つ経験や知識を元にした人生哲学を提示するのに成功している本である。
読後は、「金」を道具と認識し、「金」に翻弄されず、人生を楽しむ気持ちを湧き起こしてくれるかもしれない。そんな知恵と示唆に富んでる良著である。
「人生は金じゃない」、この使い古された言葉をあえて堀江貴文さんが、サブタイトルに採用したのは、世の中には、まだまだ「人生は金だ」という人が大多数を占めている現実に気づかせるためである。
「金」を目的にせず、目的のために「金」を使うこと。
それが「人生は金じゃない」の意味するところだろう。
本当は、会社人生を邁進する人にオススメしたいところだが、「信じるもの」を「間違っている」人は聞く耳がなさそうなので、まずは、ウシジマくん漫画を読んで、現実にビビっている人に読んでもらいたい。
「金」を再認識して、ウシジマくんに出てくる登場人物ほどの馬鹿になる方が難しいことをこの本を通して知るといいだろう。
該当する人は、ぜひ本を買って楽しく読んでほしい。
「思い込み」の危うさを指摘する堀江貴文語録。
本著で繰り返し堀江さんが提示しているのは、思考停止に陥るなということだろう。
「金」をきっかけに、様々な社会的通念に疑問を持たず、正しいと「思い込ん」でしまっている状態が危ういことを繰り返している。
本著内で特に味わい深い言葉をいくつかあげる。
- 「信じてるもの」が「間違っている」
- 人間は思い込みで整合されている。
- 一般的に人々は動こうとしない。グリップに支配された不自由な人生をあえて望んでいるようだ。
- 私は「ワンピース」の(中略)仲間との共闘、一体感が何よりの宝物という価値観は、全く受け入れられない
「金」という呪縛以外にも人間は色々なものに縛られてしまうものである。
「会社」「家族」「仲間」などコミュニティや「宗教」「プロ野球」「女」などの価値観。油断していたら、その世界が全てになり、不自由な人生を送っている。それでももしかしたら、幸せなのかもしれないが、そのまま負の世界に落ち込んでいってしまう人もいる。
こんなリスクを少しでも軽減し、「思い込み」の呪縛から逃れるためのアドバイスとして、堀江さんは、複数の環境に身をおくことを挙げている。視点の多様性をもてば「思い込み」を軽減することができる。
最後に「信用」について語り占めているが、個人的には捉えかたが難しかった。
簡単に言えば人間関係を無駄に広く持ち続けるのではなく、人間関係を断捨離して、自分の価値観、好き嫌いを素直に体現しろということだ。おそらく、会社や家族などの既存の概念に縛られた関係のことを指しているのだと思う。「人脈」宗教から脱せよということだろうか。
自分の身の丈にあった人間関係をきちんと構築して、その中で「信用」されていれば良いということだろうか。
なんとなく、「信用」という他人の評価に身を委ねるように聞こえるので、少し納得感に乏しい。
まず、自分という個を確立したことを大前提にした上で、他人と対等な良い関係を築くことという手順と一応理解している。
しかし、個人的には、遊び仲間以外に利害関係を持つ人間を増やしたいと思わない。
この本を通して、私が最も感銘を受けたのは、「信じている」ものが「間違っている」
無自覚に陥っている人が多く、そして、信じているもので人を攻撃してくる。
不合理な話なのだが、現実の世の中に照らし合わせると彼の言葉にリアリティを改めて感じてしまう自分がいた。
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