人生100年になったなんてニュースも飛び交い、老後のためには資産運用しろ!というちょっとどきっとするニュースを昨今ちらほら見つけたりします。
そもそも「将来の老後に向けて必要なお金はいくらなのか?」
今回は、私が勉強している知識も活用しながら、この誰もが持つ不安を解消し、銀行や証券会社などそれぞれの思惑を抜きにした本当に老後に必要なお金の21世紀版を試算してみたいと思います。
この目標が明らかになれば、人生の視界はずいぶんクリアになるはずです。
そして、その先にようやく「投資」や「資産運用」を武器にして、今の生活を豊かに送りつつも、老後資金を用意していく大人のマネーリテラシーを身につけるモチベーションを持つきっかけになればと思います。
さて、老後資金はいくら必要なんでしょうか?
「定年後3000万円」は本当なのか?
よくニュースなどで「定年後は3000万円必要!」とうたわれています。
まじか!そんなに今から貯められるかよ!と思い、老後が不安になる人も多いと思います。
仮に3000万円あっても、子供が大学に行くために取り崩したら減ってしまう人もいると思います。
①そもそもこの3000万円の根拠ってどこから来たんでしょう?
どんなシミュレーションの結果、3000万円もの大金が必要だと言われているのかを知らずに、3,000万円を鵜呑みにして不安がるのは、今日でやめましょう。まず、そもそもこの話の真偽を確かめます。
②あらためて、今の現役世代は、3,000万円も必要なのか?
根拠を理解した後は、その計算を現在の状況に合わせて、試算してみましょう。
また、ライフスタイルも多様化した現在、何にお金を使うのか?はそれぞれが決めていけば良いと思います。
この2つを整理して、21世紀版の老後に必要なお金を明らかにしていきたいと思います。
①そもそも定年後3000万円の根拠は?
これの元となる考え方について東洋経済がまとめた記事があります。
ゆとりある老後のためには「毎月の支出34万9000円」が、この3000万円の根拠だったようです。
しかも、背景としてはちょっと古く20世紀の団塊世代に向けたメッセージだったようです。
定年60歳から当時の平均寿命75歳までの15年間を老後として、計算して出された3000万円のようです。
※しかし、東洋経済ニュースでは、夫死亡後の遺族年金や妻自身の国民年金について収入がなくロジックがおかしいです。
そこで改めて計算してみましょう。
夫が75歳まで、妻が80歳までの老後で計算されています。
①老後に必要なお金総額 7,332万円
まずは、34.9万円支出から、必要なお金の総額を試算します。
- 夫婦の老後15年間で必要なお金の総額 = 34.9万円 × 12ヶ月 × 15年 = 6,282万円
- 妻がさらに5年間で必要なお金の総額 = 17.5万円 × 12ヶ月 × 5年 = 1,050万円
妻1人になってからは必要なお金は、34.9万円の半分の17.5万円で計算しています。
たくさんお金がかかります。
②老後の年金収入の総額 4,755万円
次に老後の年金収入で得られるお金の総額を求めます。
平均的な夫婦の年金収入額が月22万円で試算されます。
- 夫婦健在15年間の年金収入 = 22万円 × 12ヶ月 × 15年 = 3.960万円
夫の死後も妻には自分の国民年金と夫の厚生年金の3/4が遺族年金として支給されます。
ここ重要です。
夫の国民年金は、一般的に死後は受け取ることができないので注意です。(ただし、未成年の子供を持つ配偶者は遺族基礎年金として支給されます。)
夫の年金総額3/4が貰えると思う人も多いようです。
さて、夫の死後、妻が得られる年金収入は、いくらでしょうか。
夫婦が同じ年齢として、夫婦健在の15年間の年金収入22万円の内訳は以下になります。
・夫の国民年金6.5万円、夫の厚生年金9万円、妻の国民年金6.5万円
夫の死後は、夫の国民年金はなくなり、厚生年金の9万円の3/4は支給されるので、
妻単独の年金月額 = 妻の国民年金6.5万円 + 遺族厚生年金 9 × 3/4 =13.25万円
- 夫の死後5年間の妻の年金収入 = 13.25 × 12ヶ月 × 5年 = 765万円
年金支給額22万円から結構減りますね。。。
以上、2つの年金収入の和が、老後の年金収入総額となります。
3,960万円 + 765万円 =4,755万円
実は、老後に必要なお金は、2,577万円でした!
①、②の試算から、老後に必要なお金は、
①7,332 – ②4,755 = 2,577万円
定年後3000万円から、実際は500万円近く減りました。
定年後3000万円の定説は、実はフェイクニュースですね(笑)
細かい計算をしているようでしていなかったようです。
3000万円というわかりやすい金額にしたかったのかもしれません。
さて、元々の根拠と実際の金額を知り、ニュースを鵜呑みにするとヤバイこともわかりましたが、
実はこの試算自体もとても古い情報です。団塊世代に向けた20年くらい前の情報です。
なので、私たちは古いこんなニュースではなく、地に足をつけて将来のマネープランを立てた方が建設的です。
今、本当に必要な定年後のお金について、ちゃんと試算していきましょう。
そもそも、毎月の支出34.9万円って無駄遣いしている気がしません?
団塊世代の価値観はちょっとバブリーで、退職金でクルージングの海外旅行に行って、いい車乗って、子供や孫にお小遣いいっぱい渡してみたいな幻想の老後に縛られている気もします。
現代では、昔ほどお金による豊かさは、全てではないと思います。
もっとお金に頼らない豊かな老後生活を我々はつくることができると思います。
その辺りも加味して考えていきたいと思います。
老後までに貯めておくお金の総額21世紀版をつくろう。
というわけで、まず、21世紀版の試算の前提を整理します。
- 老後65歳
- 平均寿命84歳
- 年金支給開始65歳
- 年金平均22万円
定年後も65歳まで働くライフスタイルが浸透して、老後は65歳に後ろ倒しされました。
年金支給開始も65歳からになっています。
最新の平均寿命は、女性87歳、男性81歳。
平均寿命、男女とも過去最高更新 女性87.14歳 男性80.98歳
間をとって二人とも84歳で試算してみました。
いま現役世代の人は人生100年時代とも言われはじめ、もう少し長くなるかもしれませんが、一旦これで試算します。
年金収入は意外と変わらず、22万円を維持しているようです。
2017年最新!実際の年金受給額の平均はどのくらい?国民年金・厚生年金、夫婦独身の場合はいくら?
以上を元に21世紀版の老後に必要なお金を計算していきます。
定年65歳時点で、本当に必要な金額を計算。
①老後に必要なお金総額 6,840万円
月額支出は30万円で、いかがでしょう?
正直、20世紀版の月額35万円はバブリーです。現役世代並みに使ってます。
例えば、年収500万円の世帯の手取り月額収入は33万円です。
老後は子供も独立してさらに支出は減る1人あたり3万円程度減らせるでしょう。
子供2人分減らして27万円ですが、毎月ゆとり3万円を追加して、月額支出30万円で計算します。
- 夫婦の老後19年で必要なお金の総額= 30万円 × 12ヶ月 × 19年 = 6,840万円
寿命は伸びましたが、月額支出を正常化したので、20世紀版に比べ、400万円ほど減りました。
やっぱり昭和的なお金の裕福さが欲しい人は、35万円で試算してみましょう。
- 夫婦の老後19年で必要なお金の総額= 35万円 × 12ヶ月 × 19年 = 7,980万円
老後が4年伸びたので、20世紀版に比べ、700万円ほど増えるのでゆとりを持ちたい人は注意しましょう。
②老後の年金収入の総額
夫婦2人の平均的な年金収入の平均は変わらず22万円ですが、84歳まで19年間支給されます。
- 夫婦19年間の年金収入 = 22万円 × 12ヶ月 × 19年 = 5,016万円
老後に必要なお金は、現代の価値観の人なら、1,800万円!
① 6,840万円− ②5,016万円 = 1,824万円 (月支出30万円)
昭和的にゆとりをお金で買いたい人は、当然余分にお金が入ります。
① 7,980万円− ②5,016万円 = 2,964万円 (月支出35万円)
こちらだとやっぱり定年後3000万円必要となる試算です。
やっぱりバブリーな人はお金必要ですね。頑張って老後資金を集める必要があります。
ただ、この試算を見るとたった月5万円もの贅沢を控える(外食とか、車とか、過剰な子供の援助とか)と、老後資金が1,200万円も余裕になることがわかります。
老後資金が思いのほか、集まらなかった場合ですが、お金を使うことで欲求を満たす型の人は、ライフスタイルを一新して、お金ではない趣味や人付き合いなどで、心のゆとりを得るようにすれば、1200万円の価値があるとも言えます。
まとめ 老後に必要なお金を決めるのは、最後はあなた自身!
老後資金の考え方について、ある程度理解を深めていただけたかと思います。
マネープランは、自分の生き方(ライフプラン)を考えるきっかけにもなるので意外と楽しいです。
老後資金1,800万円で豊かに生きるために、今から準備していくこともできますし、
ゆとりある3000万円を用意するために、お金を積極的に運用していくのも選択肢の一つだと思います。
今回の試算のように、お金はシミュレーションできることを知り、自分に合わせて目標金額を決め、行動していくことが、大人に必要なマネープランニングだと思います。
あなたは、老後資金はいくらにしますか?
そして、楽しく生きるライフプランは?
さて、次のステップとして、老後の年金収入は変動しないので、
マネープランを自分に合わせて以下の2つを考えるのが良いと思います。
- 「支出」はどれくらいにするか
- 年金以外の収入「お金の運用」を検討するか
特に2のお金の運用については重要なので、いくつかの記事でまとめていきたいと思います。
老後資金1,800万円を準備するためにも、そして、さらに1,800万円をできる限り先延ばしにするためにも、使えるマネーリテラシーとなります。
投資を活用し、老後資金を作り、老後も資産を長生きさせよう。
老後資金を貯金して、引退後は貯金を切り崩すのが最もシンプルな方法ですが、資産を作るためのマネーリテラシーを少し身につければ、今あるお金を老後までに殖やして、老後もただ切り崩すのではなく、殖やしながら使っていくことを考えられます。
前回の記事で、フィナンシャルプランナーがライフプランニングで使う便利な6つの係数を紹介しました。
ライフプランニングのための6つの係数!自分年金はいくら必要か!?
この係数を活用して、まず具体的なマネー戦略を作りたいと思います。
目標金額に向けて必要となる利回りや、年金として取り崩していく金額などを6つの係数を使って明らかにしようと思います。
その後は、その戦略に沿って、実際に資産運用するときの具体的な戦術(投資方法、投資対象など)を身につけていくことを目指します。
参考文献
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