老後といえば、大人の向こう側にある未来の話です。
しかし、豊かな人生を老後も送るためには、現在である今から準備した方が良いでしょう。
今回も、大人のライフスタディとして”老後のマネープラン”について考えます。
特に老後のマネープランは、早めに検討するほどメリットもあります。
これまで2回に渡って、
- 老後資金として準備しておくべき金額は1800万円であること
- 老後資金1800万円を20年で形成するためのマネープラン
を説明してきました。
第三回となる本記事では、
「老後資金でゆとりを生み出す老後のマネープラン」
について考えていきたいと思います。
長生きしても資金がショートしないように、老後資金をうまく活用するためのマネープランです。
必要な老後資金1800万円の根拠と資産形成のマネープラン
まずはこれまでの考え方について簡単に整理します。
第一回:老後資金を1800万円とする試算について
第一回の記事では、65歳で始まる老後から、平均寿命84歳までの19年間について、「支給される年金収入」だけでは足りない生活費の総額を「老後資金」として試算しています。
定年後3000万円必要は本当!?21世紀版をちゃんと試算してみた。
この老後資金の試算をシンプルに説明すると、
- 老後の支出 30万円/月
- 平均的な年金収入 22万円/月
- 月に足りない金額 8万円/月
→8万円 × 12ヶ月 × 19年間 =必要な老後資金の合計 1824万円
年金収入で足りない支出を賄うための総額です。
65歳までに1800万円を作り、老後19年で取り崩していけば、月30万円の老後生活を送れます。
もちろん、老後の支出をいくらにするかは、個々人によって変わると思います。
この試算をモデルにして、みなさんそれぞれのライフスタイルに合わせて増減すれば、自分の目標金額が作れます。
例えば、月33万円は使いたいなーという人は、毎月11万円足りないので、「11万円×12ヶ月×19年=2,508万円」が老後資金の目標となります。
ただ、普通の生活を送るなら、老後資金は1800万円あればOKと考えてください。
まず、1800万円を目指して資産形成をはじめ、うまくいきそうならさらに目標金額をあげていけば良いと思います。
最初から高い目標にして貯蓄するのを諦めるくらいなら、低い目標からコツコツ達成していきましょう。
第二回:1800万円の老後資金の形成について
次に、老後資金1,800万円の作り方について。
定年65歳まで20年で、1800万円を形成する3つのマネープラン検討してみました。
定年後1800万円の老後資金を20年で形成する3つのマネープラン
結論からいえば、低金利の預金だけではなく、預金と資産運用の2軸で形成していくことをオススメしています。
年収500万円のサラリーマンをモデルケースにすると、
- 月額手取り 33万円
- 目標利回り 3.0%
- 月の貯蓄額 預金3.75万円 / 投資2.79万円 合計6.54万円
あくまで貯蓄ゼロからの老後資金1,800万円を形成する場合の試算です。
投資比率や利回りを変えたり、資産形成期間を長くすると、月の貯蓄額はもう少し緩和されます。
若い人は時間を武器にするのが効果的です。
もちろん、すでにある程度貯蓄のある人は1,800万円との差額でOKです。
老後資金から”ゆとり資金(へそくり)”を作る老後のマネープラン
さて、振り返りが長くなりましたが、第三回では、老後資金1,800万円をできる限り有効活用するための老後のマネープランを検討していきたいと思います。
年金収入と老後資金1800万円で生活費は充足するはずですが、できれば”ゆとり”も欲しいのが本音だと思います。
自分たちの旅行や子供の結婚資金や孫へのお祝いなど、老後も楽しいことはたくさんありそうです。
そんなときのゆとり資金としていくらか使えるように、19年の老後の時間を武器にして、許容できる範囲で資産運用するのが、これからの老後のスタンダードだと思います。
そこで、現在私が勉強しているFP(ファイナンシャルプランナー)がライフプランの検討に活用している”係数”を使って考えていきたいと思います。
ライフプランニングのための6つの係数!自分年金はいくら必要か!?
6つの係数のうち、今回の老後のマネープランにぴったりの指数が、こちらです。
●資本回収係数
現在の元本を複利運用しながら、取り崩す(使っていく)場合の毎年の受取額(資本の回収額)を計算するときに使う。
この係数をまとめた表はこちらです。
※今回、19年の係数があるpdfリンクです。
老後のマネープラン試算の前提条件
それでは、試算のための条件を整理していきましょう。
資産運用にはリスクがあるので、老後資金と考えると全てを運用にツッコむ漢気は、今回は控えましょう。
- 老後資金 1,800万円
- 資産運用の割合 50%
- 目標利回り 3.0%
ということで、老後資金50%の900万円を資産運用に回して、年平均3.0%の利回りで運用する条件で試算したいと思います。
計算式は、簡単で以下になります。
投資元本(900万円) × 資産回収係数(3.0%19年の係数) = 毎年の受取額
先ほどの資産回収係数表を見てみましょう。
5年ごとの投資利回り1.0〜5.0%の係数をピックアップして整理しました。
年 | 1.0% | 2.0% | 3.0% | 4.0% | 5.0% |
5年 | 0.20604 | 0.21216 | 0.21835 | 0.22463 | 0.23097 |
10年 | 0.10558 | 0.11133 | 0.11723 | 0.12329 | 0.12950 |
15年 | 0.07212 | 0.07783 | 0.08377 | 0.08994 | 0.09634 |
19年 | 0.05805 | 0.06378 | 0.06981 | 0.07614 | 0.08275 |
25年 | 0.04541 | 0.05122 | 0.05743 | 0.06401 | 0.07095 |
19年で投資利回り3.0%の指数は、赤字の0.06981です。
貯金50%:資産運用50%での年金以外の予算を計算すると、
資産運用しながら使える年額は、「900 × 0.06981 = 62.8万円/年」となります。
貯金900万円を取り崩す年額は、「月4万×12ヶ月=48万円/年」となります。
これらを合計すると、「貯蓄48万円 + 資産運用62.8万円 = 110.8万円/年」が、資産運用を老後のマネープランに取り入れた場合の年間に使える金額となります。
平均年金収入 22万円 × 12ヶ月 = 264万円 / 年 なので、老後資産運用の110.8万円を加えると、老後の年間総予算は374.8万円 / 年となります。
貯金のみで資産運用しなかった場合と比較すると、
老後資金1800万円を全て貯蓄のまま取り崩していく場合は、「月8万円 × 12ヶ月 = 96万円/年」が年間予算だったので、
老後資金の半分を運用する場合と比較すると、「資産運用50%試算110.8万円 – 貯金のみ試算96万円 = 14.8万円/年」のゆとりが生まれます。
資産運用を取り入れると、年間15万円ほどの”ゆとり資金(へそくり)”が生まれる可能性があります。
年に1回の国内旅行や、3年に1回くらい海外旅行に行ったりできそうです。
このように許せる範囲内で資産運用を取り入れることが、老後のマネープランとして覚えておきたい”ライフスタディ”と考えています。
もし、100歳まで長生きした場合をシミュレーション
まだ寿命も長くなってきて人生100年時代も近いという噂も昨今はありますね。
長生きがリスクになると言われる嫌な感じもありますが、老後のマネープランを活用して「100年生きても大丈夫!」と思いたいです。
100歳まで生きた場合35年間で老後資産を取り崩していくケースは、年額いくら使えるか資産してみましょう。
倍近くに伸びるので、流石に厳しい気もしますが。
100歳までのマネープランシミュレーション
投資元本900万円 × 資産回収係数(3.0%35年)0.04654 = 41万円 / 年
なんとか年41万円使えることがわかります。
ただ、残り半分の貯金900万円は84歳までで取り崩して無くなっています。
長生きを考えると、なかなかゆとり資金ができませんね。
- 65歳〜84歳まで 貯金48万円 + 資産運用41万円 = 89万円 / 年
- 85歳以降100歳まで 貯金0 + 資産運用41万円 =41万円 / 年
84歳までも月数千円節約しないといけないですし、85歳以降はさらに4万円生活費を圧縮する必要があります。
ただ、全て貯蓄で取り崩していた場合は、85歳以降は老後資金は0万円なので、それに比べると資産運用していると41万円のプラスが残るので、長生きリスクの対策としては、ある程度資産運用しておく方が良いと言えます。
まとめ 老後資金から”ゆとり資金(へそくり)”を作る老後のマネープラン
今回提案した”老後のマネープラン”は、一生懸命作った老後資金1800万円をさらに有効活用するために、半分(50%)を資産運用するという計画でした。
結果として、毎年14万円ほどの”へそくり”を生み出してくれます。
さらに100歳まで生きる場合も検討してみましたが、
貯金だけだと、85歳以降は年金収入だけを頼りにすることになります。
長生きリスクに備えるためにも、老後も資産運用を取り入れること検討した方が良いと思います。
参考文献
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